台湾では旧正月に合わせて多くの映画が公開されていますが、そのなかでもベテランタレント、猪哥亮(ジューグーリャン)が主演する『デビッド・ロマン(大尾鱸鰻)』が、公開1週間で興行収入台湾元1億元を突破する大ヒットをしています。

その噂を聞きつけて僕も嫁と二人で基隆の映画館に足を運びました。
  
ストーリーは、台湾の経済発展が著しい1990年代、カメラマンだった豬哥亮演じる主人公大尾が、とあるきっかけでギャングの親分になるところからはじまります。内容は自分の身代わりになって死んだ男の息子小賀、大尾の一人娘小芹の3人が織り成すドタバタ劇です。

そのなかでやはり一番おもしろいと話題なのが、主人公を演じる猪哥亮(ジューグーリャン)の台湾語のダジャレです。

例えばギャングの親分が集まった席で、ウェイターが猪哥亮に次のように聞きます。
「請問咖啡要冰的還熱的?(コーヒーはホットにしますか、アイスにしますか?)」

それに対して猪哥亮は台湾語で次のように答えます。
「冰斗啦!(アイスだ!)」

この「冰斗啦」の中国語の発音が、台湾語の「翻桌(意味は、怒った!やってられるか!!机をひっくりかえせ!! )」とよく似ています。このためそれを聞きつけたギャングたちは一斉に銃撃戦を始めるのです。

それ以外にも多々そういったダジャレが出てくるのですが、やはり台湾語がわからなければ正直笑いについていけません。

正月の当日、映画館は若い学生と思われる観客で満員。豬哥亮のダジャレに映画館は爆笑の渦でした。しかしそれでも近くの席からは「何がおもしろいの?台湾語はよくわからない」といったつぶやきも聞こえました。

台北、基隆など台湾北部で生活をしていると、ほとんど中国語(国語)で不自由しません。その代わり、このように台湾語がわからない若い台湾人を見かけることもあります。

台湾で生活をしていて、なかなか台湾語まで話せる日本人にはお会いする機会がありません。台湾人の嫁の話では、台湾語を流暢に話す欧米人はたまに見かけるといいます。

私見ですが、台湾語はどちらかというと話し言葉だけに、文字や文法からの勉強が得意な日本人にはなかなか会得できないのかなと思いました。

ギャンブルで多額の借金を残して逃亡した豬哥亮が数年前にようやく芸能界に復活し、映画やテレビでよく見かけるようになりました。この映画をきっかけに台湾語を勉強して、豬哥亮のギャグが笑える数少ない日本人にでもなってみようかと思っています。