忘れたころにやってくる外国人居留証の延長(写真は基隆の移民局)
日本の商品、アニメ、音楽が氾濫する台湾で生活していると、外国にいるという感覚が非常に薄れてきます。

日本語が話せる人も多くいることもあり、海外では一番日本に近いと感じます。

ただ忘れたころにやってくる外国人居留証の更新通知を手にすると、ふと我に返ってしまいます。

基隆の移民局は東南アジアの人ばかり
先日僕が住む台湾の基隆で、数年ぶりに居留証の延長申請に行ってきました。

手続きを行う基隆の移民局オフィスは、基隆市政府(市役所)の斜め向かいにあります。僕が訪れたときはオフィスは東南アジアや中国人ばかり。しかも女性ばかり。たぶん台湾人に嫁いだ人ばかりなのでしょう。

あたりを見渡しても白人は一人もいません。日本人はどうやら僕一人。聞くと戦前は日本人が非常に多かった基隆ですが、今は市内でも数えるくらいしかいないようです。

 移民局の係員は中国語でしか対応してもらえないようです。ですからこのオフィスには日替わりでインドネシアやフィリピン、ベトナムの言葉ができる通訳ボランティアを置いています。
通訳は東南アジアの方専用
基隆の移民局にあった通訳の出勤表 東南アジアの言語ばかり。
基隆のオフィスには日本語が話せる人はいないようでした。台北なら日本人が非常に多いので状況は異なると思います。

移民局の係員は大変フレンドリーで、どの外国人に対しても高慢な態度をとるような人はお見受けしませんでした。

長い順番を待っていると、突然移民局の決定に不満があったのか、大声をあげて闖入してきたベトナム人がいました。日本なら「別室にどうぞ」と裏でなだめたりすかしたりしそうな事態です。

しかしここではみんながいる目の前で、係員が優しく説明をしていました。なにやらクリーンな感じがします。ただその分処理が遅くなるので、待ち時間がかなり長くなってしまいました。

さらに台湾らしいところといえば、申請書の記載に書き間違いがあっても、修正テープで直しても差し支えないということです。日本なら少なくとも二重線に修正印、最悪書き直しになってもおかしくはありません。

毎週日曜日台北駅に集結する外国人
毎週日曜日、台北駅に集結する外国人 東南アジアからきた外国人でいっぱい

永久居留証の要件とは?
ようやく僕の番がきました。

台湾人と結婚して配偶者ビザを持っている場合、延長には現在の居留証、台湾の戸籍謄本、パスポートが必要です。

手続き自体は非常に簡単。係員に言えば新しい居留証を自宅まで書留で送ってくれるので、2度も足を運ぶ必要はありません。

また毎回の更新が不要な永久居留証なるものもあります。
説明によれば、普通の外国人は
1.台湾で連続5年間合法に居留していること
2.かつ1年のうち183日以上台湾に在留していること
という条件がそろっていればその後2年の間に申請が可能

また僕のように台湾人の配偶者の場合
1.台湾に10年以上合法に居留していること
2.そのうち5年は毎年183日以上台湾に在留していること
という条件がそろっていればその後2年の間に申請が可能
となっているようです。

普通に居留証の延長をした場合、1年あたり1000元の費用が発生します。永久居留証の場合、1回限りで手数料は10,000元。今後さらに10年以上住むなら元は取れます。

しかし、入出国の証明書や、個人の財産証明、無犯罪証明など必要な書類がたくさんあったり、面接まであったりするのでかなり面倒。

ということで僕は申請する気持ちは萎えました。

ガイコク人になってみると外国人の気持ちがわかる!?
日本にいるとなかなか外国人のこうした手続きについて知る機会はそうそうありません。日本は日本のルールがあるので台湾の場合とはかなり異なるとは思いますが、なにかと面倒なことであることは変わりません。

また申請書や掲示物などすべて現地の言葉で書かれているより、自国の言葉で書かれてあるほうがなんとなく安心します。

日本にいるときはまったくそんなこと知ったり考えたことはありませんでした。近頃日本でも在日外国人の問題がよく報道されています。以前まで自分自身のなかで、「日本にいるのなら日本のルールを守れ。日本にいるのなら日本語を理解して」なんて傲慢なことを薄っすら考えていたこともありました。

しかし自分自身が外国人の経験をしてその立場に立ってみることで、日本にいる外国人の気持ちが少しではありますがわかるような気がしました。